AKTS+ケミルミネッセンス_CLデータのテクニカル・ノートを掲載しています。
CLケミルミネッセンス・昇温測定データを使ってAKTSソフトウエアによる反応速度論解析の応用例を紹介します。
3つの昇温測定データがあれば、測定サンプルに酸化誘導時間(OIT)を持つ場合、さまざまな等温条件のOITを予測することができます。また測定サンプルがOITと持つか否かの判断が可能です。また等温条件によるOIT実測条件データからもさまざまな等温条件でのOIT(Oxidation Induction Time)の予測が可能です。
とくにテクニカル・ノートNo.CL_5はPA6(ポリアミド6)のOITの予測では150℃を境界として活性化エネルギーが75kJ/molから120kJ/molのシフトすることが読み取れます。OITを予測する場合、活性化エネルギーはどの温度でも同一であると前提して低い温度領域のOITを予測してはならないという1つの事例です。
このようにわずか3個の昇温測定データから広い温度範囲でOITが予測できることは非常に効率的です。 2024_03_26
TN-No. テクニカル・ノート タイトル PDFファイル名
CL_08 ポリアミド6の加速試験データによる反応モデル式の探索
CL_05の昇温測定データから等温測定データを予測し、この等温データを1/150に間引いて疑似的な加速試験データに変換しました。
得られた反応モデル式はA式+B式の2段階になりました。それぞれの反応モデル式AとBはなにを示しているのでしょうか?
CL_07 ポリプロピレンの酸化誘導時間(OIT)の反応モデル式の決定
CL_07の加速試験データから劣化反応モデル式を探索するAKTS_TKsdソフトウエアのリーフレットを参照してください。
どのようなべき関数が得られるかをTKsdを使って、140,150,160℃の等温測定データをそのまま間引きして、疑似・加速試験データに変換しました。この間引きデータから酸化誘導反応の反応モデルを推定しました。
CL_06R ポリプロピレン粉末のOIT実測データによる130℃以下のOIT予測
この140,150,160℃のOIT実測値はCL_1R,3R,4RのOIT予測の検証データになっています。
PP粉末の等温条件140,150,160℃のOIT実測データを解析して50~200℃以のOIT値を予測しました。90℃までほぼ正しいOIT値が予測できましたが、90℃未満の予測OIT値は実測値に比較して短時間になっています。
1さらに130,120℃の等温条件のOIT実測データがあればより低温領域の予測精度が良くなると思われます。
CL_05 PA6(粉末・酸化防止剤無添加)のケミルミ・データによるOITの予測
PA6は150℃付近で活性化エネルギーが80kJ/molから120kJ/molに変わります。
140℃以下のOIT値を予測するには注意が必要です。
CL_04R PP(フィルム)のケミルミ・データによるOITの予測
CL_4RはPP(フィルム)のCLデータからOITを予測します。CL_03RのPP粉末の解析と同様にピーク積分の補正を行っています。
CL_03R PP粉末(酸化防止剤無添加)のケミルミ・データによるOITの予測
CL_1RのPP粉末測定は昇温速度2.5~20K/minでしたがこれを0.2,0.4,0.8K/minにしました。
このCL強度データをAシグナルとします・
一方、これとは別に酸化誘導時間を持つ酸化反応によりCL強度信号は増大しますが、Aシグナル曲線(直線)に重なりながらCL強度信号が増大します。このCL強度データをBシグナルとします。PPの昇温測定のCLデータを解析する場合、BシグナルからAシグナル成分を差し引いて解析する必要があります。理由は単純でBシグナルのまま解析して等温条件のCL強度データに変換してOIT値を読取ろうとしても、Aシグナル成分のCL強度信号にマスクされてしまうからです。(Bシグナル)ー(Aシグナル)の計算をどのように行うかが重要です。この操作法は本ノートで説明しています。
この操作法の問題点はFig_03に示す直線補正の仕方の操作手順を明確にできないことです。
CL_01R ポリプロピレン粉末のケミルミ・データによるOIT予測
昇温条件のCL強度データから酸化誘導時間_OITを推定する。
PP粉末のCLデータからOIT(酸化誘導時間)は不活性雰囲気である等温条件にしておき、空気雰囲気に切り替えて実測することができます。それでは最初から空気雰囲気の昇温測定データからOITを決定する測定・解析法を紹介します。この解析には最低3個の昇温測定CLデータを反応速度論解析して、活性化エネルギーなどのkineticsパラメータを求めることにより、OITを予測することが可能です。利用するCL強度データの温度範囲はPPの融点165℃より高い温度領域、PPの融点近傍の温度領域のCLデータを利用します。簡単に言えば、OITを予測したい温度よりも少し高い温度範囲にあるCL強度データをピーク積分して解析すれば良いと云えます。この場合CL強度データの終点温度をどこまでの温度とするか?が非常に重要です。本ノートだけでは説明
不足であり、昇温速度条件(2.5~10K/min)は不適切なので、続報のNo.CL_05Rの内容も参考にしてください。
本ノートは2023_10_03に旧版のNo.CL_01内容を一新しています。
CL01R_2023_テクニカル・ノートのダウンロードはこちらから